(4)ナヤ同盟者

いよいよ本丸。

このようなことを言っては身も蓋もないのですが、(ビートダウンの)同盟者デッキは、どのタイプでも実はあまり強さに違いがないように思っています。自分で作ったデッキ同士だからかもしれませんが、異なるタイプ同士で戦っても回数をこなせばほぼ互角となります。公式戦で同型とあたっても、正直なところ引きの強い方が勝つだけという印象。

しかし、その中で、ナヤ同盟者だけは、頭半分程度他のタイプより強いかなと思っています。おそらく、それは続唱のアドの分だけ強いということなのでしょう。

デッキタイプ別の勝敗実績はこのシリーズの最後に掲載するつもりですが、トリコ同盟者もドランカラー同盟者も1回ずつ公式戦でナヤ同盟者に当たり、負けています。正直、これはちょっとショックですが。

それでも、ナヤを使わないのには、いくつか理由があります。一番大きな理由は、同盟者デッキの大部分がナヤ同盟者であることから、ローグデッキ使いとしては、面白くないこと。それが理由の7割くらいです(笑)。しかし、その他の理由もあります。マナベースの構築の難しさと続唱カードを入れることによるデッキ構成の難しさ、それらから来る不安定さ・制約に、何となく居心地の悪さを感じるためです。

まずマナベースについて見ていきましょう。

(ナヤ同盟者のマナベース)
友好三色でも、白を中心としていることからM10ランドが二種類使えるバントとは異なり、事実上M10 ランドも1種類しか使えないナヤカラーは非常にマナベースの構築が難しいです。

ノンタップインで、しかも古代の聖塔を2枚で組むと、例えば

4乾燥台地
4陽花弁の木立ち
2根縛りの岩山
2古代の聖塔
6平地
3山
3森

という感じになって、白マナ16枚、赤マナ11枚、緑マナ11枚と、トリコの場合よりほんの少し不安定となっていることがおわかりかと思います。無論、この色の場合には《活発な野生林》を2枚程度入れるのも良いかと思います。一方、《根縛りの岩山》は両方タッチ色なので2挿しが限界かなと思いますし、2挿しでもタップインする確率はかなり高く、実際には使わない方がよいと思っています。

この不安定さに加え、ナヤにはもう一つの問題もあります。

例えば、ナヤ同盟者で一般に用いられる《暴力的な突発》を用いる場合。理想的な動きとしては、ハーダ→アクーム→暴力的な突発、又は、ハーダ→カサンドゥ→暴力的な突発、ということになろうかと思います。前者では、3Tまでに3マナ3シンボル、後者では、3Tまでに3マナ4シンボルが要求されます。

マナカーブに沿って詳しくみてみましょう。

1マナ ハーダの自由刃
2マナ カサンドゥの刃の達人 オラン=リーフの生き残り アクームの戦歌い 高地の狂戦士
3マナ カビーラの福音者 暴力的な突発 

3T目にカビーラを出す場合を除けば、どのような経路を通っても、3Tまでに3マナ3シンボルか4シンボルが要求されるわけです。この要求に上のマナベースではまず応えられません。しかも、2マナクリーチャーの要求する色もバラバラで、確実に2T2マナ2シンボルが要求されることになります。

すなわち、ナヤの場合には、タップイン土地をある程度増やしてテンポを阻害する可能性も甘受して構築するか、色事故の危険性を孕んだ形とするかという選択が迫られてしまいます。また、こういう脆さは廃墟飛ばしや地盤の際や海の格好の餌食となります。

実際には、前者の選択をとられることが多いように感じます。例えば、遊生さんのナヤ同盟者は、徹底的に色事故の危険性を回避した形となっています。さらに、暴力的な突発も不採用で、最もタイトなケースでも血編みを出すための4T4マナ4シンボルに抑えています。

【遊生さんのナヤ同盟者のマナベース】
4 古代の聖塔
4 ジャングルの祭殿
4 陽花弁の木立ち
4 乾燥台地
5 平地
2 山
1 森

タップイン3色土地4積みの上、古代の聖塔も4積みです。このマナベースなら、トリコのサンプルレシピよりはるかに安定したマナ供給ができます。しかも、1T目のアクションがハーダだけなので、タップインランドを1T目に使うと考えれば、初手に特定のカードが来る期待値が1となる当該カードの枚数は8枚なので、ハーダ+3色タップインランド=8で理にかなっています。ただし、4Tに至るまでの間に途中でタップインランドのみとなりそれをタップインしなければならなくなるケースがあることだけは覚悟する必要があります。しかし、ミシュラ土地を用いずこの4枚までなら十分許容範囲と思います。むしろ、同盟者デッキとしては起動コストが安く、空からの守りにもなる、使い勝手のよい《活発な野生林》を(《怒り狂う山峡》も強いのですが、起動が若干重い)用いることをあきらめざるを得ないという点に制約があるといえるでしょう。

さらに、古代の聖塔を4積みにしたために、3マナ以上の非クリーチャー呪文は極めて使いにくくなります。この点も大きなディスアドバンテージだと私は考えてしまいます。特に《忘却の輪》《遍歴の騎士、エルズペス》《審判の日》を使いたいと考えますので。この点に、私がナヤ同盟者を好まない最大の理由があるといえるでしょう。

このほかにも、デッキ圧縮を考えて3色タップイン土地の代わりに《広漠たる変幻地》を入れるレシピも、双方2枚ずつというレシピもあります。圧縮のメリットと色マナのやりくりの融通性とどちらをとるかという選択の問題でしょう。

(続唱カードの使い方)
いうまでもなく、続唱カードは疑似同盟者として用いられているわけですので、同盟者が必ずめくれるようにデッキ構築をするのが基本となります。

暴力的な突発については、除去を3マナ以上にすればよいわけで、忘却の輪を中心に構築するということで解決しますが、今度は古代の聖塔の4挿しがどうかという問題とバッティングを起こします。結局、古代の聖塔をとるか暴力的な突発をとるかという選択が迫られることになります。古代の聖塔については、暴力的な突発だけにとどまらず、広く非クリーチャー呪文の採用に大きな足かせとなるということはすでに述べたとおり。

また、除去との関係についても、3マナ未満の除去を積まないか、めくれても本体に打つことで最低限許容できる稲妻を採用するかという選択が強いられます。稲妻は一つの解決策のようにも感じますが、私としては、苦労して(多分)3色の3マナ払って、1,2体(3T目で出したとき)の同盟者の頭を一つ大きくして本体3点のみでは割が合わないように感じてしまいます。このように考えていくと、暴力的な突発の不採用は十分考慮に値すると思われます。ここからアクームがめくれた時は本当に強いのですが・・・

《血編み髪のエルフ》については、確実に3/2速攻が場に残るので、稲妻がめくれてもぎりぎり許容できるところです。しかし、世の中にはパワー2の先制攻撃は、比較的溢れかえっているので、一瞬にして置き物と化してしまうことも多いです。特に同盟者デッキが増えてきた昨今は。また、血編みからはナヤ同盟者の最大のポイントであるナヤチャームがめくれてしまうことがあります。したがって、ナヤチャームや忘却の輪などのカードを積んでいるときには、使いどころの見極めが必要となってきます。

しかし続唱のカードアドバンテージは大変大きなものなので、これらの欠点を考えても、採用をする価値は大いにあるといえるでしょう。私としては、続唱カードを用いるときには、思い切って非クリーチャー呪文をほとんどゼロにした方がよいかと思います。しかし、エルドラージの碑などにひどい目に遭った(しかもこの前までは自分で使っていたのでその怖さもよくわかる)身としては、忘却の輪が必須と考えてしまいます(サイドからでもいいのですが)。新環境では、緑苦花も登場しましたし・・・。

結局これらの複雑に絡み合った問題を解決できずに、ナヤから離脱したということです。あえて、今ナヤ同盟者を組むとしたら、やはりカビーラの増量に値するナヤチャーム(これがあるからこそのナヤ同盟者だと私は考えています)や忘却の輪は入れるでしょう。以下のような感じとなるでしょうか。やはり、上記のカードと引き換えに、マナベースが多少不安定となってしまっています。そして、人間力のない私は色事故を起こしたり、血編みからナヤチャームを引くのだと思います・・・

【サンプルレシピ】
16 基本同盟者
4 オランリーフの生き残り
4 アクームの戦歌い
2 高地の狂戦士(または3にして61枚に)
1 ヘイラバズのドルイド
4 血編み髪のエルフ
1 イーオスのレインジャー

2 遍歴の騎士、エルズペス
2 ナヤの魔除け

2 古代の聖塔
3 ジャングルの祭殿
3 陽花弁の木立ち
4 乾燥台地
2 活発な野生林
5 平地
3 山
2 森

【サイド】
4 コーの火歩き
4 不屈の随員
3 審判の日
3 忘却の輪
1 真髄の針

こうやって書いてみても、迷いが見えますね。あまりお勧めできません(それでも自分の作ったトリコやドランカラーより強いかもしれませんが・・・)。忘却の輪や真髄の針を入れる場合には血編みとの入れ替えもあるかと思います。しかし、そうなれば、ナヤにした意味が・・・

むしろ、マナベースの問題解消のためにヘイラバズのドルイドを3、4挿しにするという選択肢もありますが(その場合には高地の狂戦士が落ちるのでしょうが)、そうすると攻撃力が相当落ちるという問題もあり、難しいところです。

なお、ナヤ同盟者においては、全体除去対策としては不屈の随員とミシュラ土地しかありません。できたら(サイドも含め)両方用意するべきと思います。

(以下次回)


コメント

ボトムデッカー
2010年4月20日11:00

プラスカウンターを乗せられる同盟者がとにかく足りないので、マナカーブ的にダメージ効率を優先して殴り切る形がいいと思います。
ナヤの魔除けか福音者でフルパン通してリーチをかける形になるので、最後の数点を削る工夫が必要になりますね。
青白コントロール相手には威圧の王笏並べるのが簡単なので、血編みから威圧の王笏めくるプレイングでいいと思います。

REQUIEM
2010年4月20日13:11

コメントありがとうございます。ダメージ効率優先ということは、やはりテンポも大事だということだと思います。思い切って古代の聖塔を4挿しにしてタップインランドを今の5枚から3枚とし、その代りサイドでは出にくくなる審判の日を威圧の王笏に変えて(これも多少出にくいが青白コントロールはゆっくりなので大丈夫でしょう)、ヘイラバズのドルイドはナヤチャームの増量に変える…という感じかな。最後の数点はティレルが頑張ってくれると思いますが。

エリック
エリック
2010年4月20日20:24

こちらからもリンクさせていただきます!今日は残念ながらTNMに参加しに行けないんです。葬式が終わってなかったら、来週お願いします!

たま
2010年4月21日12:19

こんにちは!マナベースの話題検索にてたどり着きました!
考察など非常に参考になる事が多く

勝手ながらリンクさせて頂きました、宜しくお願い致します(’▽’)

REQUIEM
2010年4月21日13:59

>エリック様
ようこそ。昨日も多少悔いが残ったので、お通夜ということにして、葬式はもう少し延期しようかという気にもなっています。いずれにせよ、できる限りTNMには顔を出しますのでよろしく!

>たま様
こちらこそよろしく。こういう読者の方がいるというだけでも大変励みになります。頑張って完結させたいと思っています!

nophoto
Loradae
2014年1月15日19:02

TYVM you’ve solved all my prlobems

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